ロシア正教会のイラリオン府主教、西側諸国に警告

2017年10月2日 お知らせ

2017年9月22日、ロンドンで行われた「ヨーロッパのキリスト教の未来」と題した会議において、ロシア正教会の外交部門の責任者であるイラリオン府主教は、西方の教会への警告ともとれるスピーチを行った。

「思い出していただきたい。1917年までは、何世紀にも及んだキリスト教ロシア帝国の崩壊が起き、無神論の全体主義体制に取って変わるなどと予測する者は誰もいなかった。それが起こった時ですら、これが深刻な事態であり、あれほど長く続くことになると考える者はわずかだった。

今日の西側世界におけるキリスト教の衰退は、1917年以前の帝政ロシアの状況になぞらえることができる。

革命とそれに続く劇的な出来事には、社会的な原因、政治的な原因と同じように、霊的に深い原因がある。長年にわたって、貴族階級と知識階級が信仰を捨て、そして一般階級がそれに続いたのだ。

モスクワと全ロシアのキリル総主教聖下は、2017年の1月にこのことについて語られた。

『伝統的な生き方が根本から断絶するとすれば──私は人々の霊的かつ文化的な自己意識のことを言っている──それは人々の生活から、非常に重要な何かが消失してしまったという原因によってのみ起こりうる。それは最初に支配階級に属する人々の間で起こる。外見上は繁栄しているように見え、科学や文化面で成果をあげているように見えるかもしれない。しかし、人々の生活から少しずつ、神への生きた誠実な信仰が場所を失い、霊的かつ道徳的な伝統に属する価値が特に重要であるという理解が失われたのだ』

ヨーロッパ連合が創設されてから半世紀が過ぎ、EU憲法が制定されたが、この文書には、統一ヨーロッパにおける世俗的権威の本質は侵害しないにしても、ヨーロッパの価値の一つとして、キリスト教の役割が含まれるはずだとキリスト諸教会が期待するのは自然なことであった。

しかし我々が知るように、それは起こらなかった。ヨーロッパ連合は憲法を制定する際に、その序文において、ヨーロッパのもつキリスト教の伝統について言及するのを拒否したのだ。キリストを棄てたヨーロッパは、文化的にも、霊的にも、そのアイデンティティーを保つことはできないだろうと私は確信している」

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