教皇フランシスコ、ロシアのキリル総主教とのテレビ会議で侵略の宗教的擁護を拒否

2022年3月17日 お知らせ

2022年3月16日
クリストファー・ホワイト/ナショナル・カトリック・リポーター

2016年2月12日、ハバナのホセ・マルティ国際空港での会談において笑顔を見せるロシア正教会のモスクワ総主教キリルとローマ教皇フランシスコ。モスクワ総主教庁が3月16日に発表した声明によると、教皇フランシスコはビデオ会議を通じてキリル総主教と、現在進行中のウクライナ危機と平和的解決の希望について話したという。(CNS/Paul Haring)

【ローマ発】ローマ教皇フランシスコは16日、ロシアのプーチン大統領の対ウクライナ戦争の重要な後ろ盾であるロシア正教会のキリル総主教とテレビ会議で会談した。この会談で、両宗教指導者は平和の確保に向けたそれぞれの取り組みを誓い合った。

バチカンの声明では、フランシスコは侵略を「聖戦」として正当化することを否定し、「今日、我々はこのように話すことはできない」と述べたとしている。

「平和の重要性に対するキリスト教の意識は発展している」とフランシスコは述べている。ここ数週間、キリルはロシアの軍事侵攻への支持を正当化するために宗教的な言葉を用いていた。

バチカンの声明によれば、この会談では「ウクライナでの戦争と、平和が勝利するために可能な限りのことをするキリスト教徒とその牧者の役割」に焦点を当てたという。

バチカンの声明は、フランシスコはロシアの総主教に「私たちは三位一体である神と神の母を信じる、同じ聖なる民の牧者であり、そのために、平和を支援し、苦しむ人々を助け、平和の道を探し、戦火を止める努力において団結しなければなりません」と述べた。

「戦争の代価を払うのは国民であり、ロシア兵たちであり、爆撃を受けて死ぬのは国民です」と教皇は続けた。「教会は政治の言葉を使うのではなく、イエスの言葉を使わなければなりません」

「戦争は常に不当なものです。なぜなら、その代価を支払うのは神の民だからです」フランシスコは続けた。「私たちの心は、子供たち、殺された女性たち、戦争のすべての犠牲者を前にして、涙を禁じえません。戦争は決して道ではありません。牧者として私たちを結びつけている霊は、戦争で苦しむ人々を助けるように求めています」

ロシア正教会による先の声明によれば、両者はウクライナ情勢について「詳細な議論」を行ったという。

声明は「現在の危機の人道的側面と、その影響を克服するためのロシア正教会とローマ・カトリック教会の行動に特に注意が払われた」と続ける。「当事者は、進行中の交渉プロセスの特段の重要性を強調し、公正な平和を早急な達成することへの希望を表明した」

ロシア正教会の外相であるヒラリオン府主教と、ロシア正教会のキリスト教間関係の当局者であるI・A・ニコラエフが、キリル総主教と共にモスクワでこの対談に参加した。バチカンでは、教皇庁キリスト教一致推進評議会議長のクルト・コッホ枢機卿と、コッホ事務所のヤロミール・ザドラパ神父が同行した。

3月15日にワシントンのナショナル・プレス・クラブで行われた討論会で、ウクライナのカトリック教会、フィラデルフィア教区のボリス・グジアク大司教は、戦争勃発以来、フランシスコのキリルへの働きかけは報われなかったと指摘した。

グジアク氏は、これは近いうちに変わる可能性があるとほのめかしていた。

3月16日のフランシスコとキリルのテレビ会議では、2016年にキューバのハバナで会って以来、初めての対面での再会となった。ローマ・カトリック教会の教皇とロシア正教会の総主教が史上初めて顔を合わせたその会談は、カトリックとロシア正教との関係における歴史的な突破口を示すものと思われ、この夏にも二人は直接会談する計画が進められていたのである。

キリルのプーチンの侵略への支持は、教会間に新たな緊張を生み出しただけでなく、世界中のロシア正教会間にほころびを生じさせることになった。

ロシア総主教は、侵略を西側の道徳的相対主義と退廃から守るための努力であると説明しようとし、ウクライナはロシア正教会の「教会法上の領地」の一部であると主張したのだ。戦争勃発後、現在までに十数カ国のうち、少なくとも160の正教会の教区が他の教団への加盟を求めた。

キリルはその後、紛争の終結への願いを表明する一方で、世界中の宗教指導者たちからの懇願にもかかわらず、プーチンやロシアのウクライナに対する行動を糾弾することを拒否している。

その後、3月16日、バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿が、バチカンの外交団が出席する中、サンピエトロ大聖堂で平和のためのミサを執り行った。

ロシアのバチカン大使アレクサンドル・アヴデーエフとウクライナのバチカン大使アンドリイ・ユラシュの両名が出席する中、パロリン枢機卿は今月6日に教皇フランシスコが講話で述べた言葉を繰り返した。

「これは単なる軍事作戦ではなく戦争である」とパロリンは言い、ロシア政府が自分たちの軍事活動を「特別軍事作戦」と繰り返し説明することに対して、バチカンから明確な拒否反応が出たのである。

「もし私たちが主の言葉にもっと耳を傾けるなら、武器は沈黙し、実際、生産や製造さえされないとは思いませんか」とパロリンは説教の中で述べた。

「私たちはウクライナで起きていることに心を痛め、神に向かいます」枢機卿は言う。「この地を破壊と広範な死からお救いください」

クリストファー・ホワイト

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