18. セラフィム・キコティス府主教(ジンバブエ・アンゴラ、ギリシャ正教)

私たちの主イエス・キリストは、ルカ福音書6章36─38節で、神のあわれみについて言及され、私たちに呼びかけておられます。「あなたがたの父があわれみ深いように、あなたがたもあわれみ深い者となりなさい。人を裁くな。そうすれば、あなたがたも裁かれることがない。人を罪人だと決めるな。そうすれば、あなたがたも罪人だと決められることがない。赦しなさい。そうすれば、あなたがたも赦される」。

「あわれみ深い父のようにあわれみ深い者となる」ためには、私たちは一致して祈り、神をたたえることによって、ある種の個人的な霊的変容を遂げる必要があります。

1992年にジュネーブで開催された世界教会協議会(WCC、352教会、6億5千万人のキリスト者を代表する)で、親愛なるヴァスーラが私たちの一致の重要性について語ったスピーチの中で、「自分が正しいと主張しながら、分裂したままでいる者は、自らの育てた実を食べて滅びると伝えなさい」というメッセージを強調しました。

私たちの親愛なるヴァスーラが30年以上にわたって世界教会協議会で強調してきた一致というテーマは、今もなおWCCの主要な優先事項であり続けています。私たちの大きな夢であり続けるこの目に見える一致に、どうすれば到達できるのでしょうか? 人類が直面している難民や移民、気候変動の問題を解決し、戦争や貧困のない平和な生活を送るために、私たちは今日、どのように生きるべきなのでしょうか?

ヴァスーラはすべてのメッセージの中で、よく知られている祈り「天におられる私たちの父よ……、み心が天に行われるとおり、地にも行われますように」で私たちが言うように、私たちが神の聖なるご意志に従うなら、これらすべての問題を解決することができると強調されています。つまり、私たち自身の意志ではなく、神の意志に従うことによって、神の国、平和、正義、社会的連帯が私たちの間に訪れるのです。

つまり、私たちは最初のキリスト教共同体のメンバーのように生きなければならないのです。この生き方は、使徒言行録の2・32─47節と4・2─32─47と4・31─37に記されています。

ペンテコステの日の聖ペトロの説教の後、人々はペトロとほかの使徒たちに、「兄弟たち、わたしたちはどうしたらよいのですか」と尋ねました(使徒言行録2・37b)。すると、ペトロは彼らに言いました。「悔い改めなさい(メタノイザテ)、めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます」。メタノイア(悔い改め)は、聖霊の賜物を受けて一致に至るための第一段階なのです。

私たちのヴァスーラは、同じWCCでの演説の中で、「霊的革命、愛の革命によって、精神を改めなさい。互いに抱く恨みを許し合い、新たにされ、清くなって私のもとに来なさい」というメッセージを強調しました。

聖霊は私たちを変容させ、私たちは自我を捨て、神の御心に生きます。信じる者たちのいのちの変容は、一致した共通の祈りと結ばれています。「彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった」(使徒2・42)。

「信者たちは皆一つになって、すべての物を共有にし」(使徒2・44)メタノイアと、共通の祈りにおいて一致する共通の霊的生活が、最初のキリスト教共同体のメンバーを共にし、持っているものすべてを分かち合うように導いたのです。「財産や持ち物を売り、おのおのの必要に応じて、皆がそれを分け合った」(使徒2・45)。

私たちは今日、初代のキリスト教共同体の成員たちの生活の模範に倣うことができるでしょうか?

私たちのヴァスーラはWCCへの同じ講演の中で強調しています。「一致して互いに助け合い、私の掟を成就させなさい、昨日もそうしたように、御父に目をあげて、私は祈る。『聖なる父よ、お与え下さった人々が御名に忠実であるようにお護り下さい、私たちのように彼らが一つとなるためです、皆が一つになりますように」(1990年3月10日)。

初代キリスト者共同体の成員たちが現代の私たちに示した模範は、貧しい人々や困っている人々に自分の持っているものを分け与えることです。「そして、毎日ひたすら心を一つにして神殿に参り、家ごとに集まってパンを裂きました」(使徒2・45)。

初代キリスト教共同体の人々の生活は、現代の私たちの救いの道でもあります。「信じた人々の群れは心も思いも一つにし、一人として持ち物を自分のものだと言う者はなく、すべてを共有していた」(使徒4・32)。

「信者の中には、一人も貧しい人がいなかった。土地や家を持っている人が皆、それを売っては代金を持ち寄り」(使徒4・34)「使徒たちの足もとに置き、その金は必要に応じて、おのおのに分配されたからである」(使徒4・35)。

私たちのヴァスーラが30年前にジュネーブのWCCで強調した点は、今日の私たちにも当てはまります。「あなたたちは、信仰と実践において再び一致しようと誠実に努力しているか? はっきり言うが、霊的革命、愛の革命によって、精神を改めなさい。互いに抱く恨みを許し合い、新たにされ、清くなって私のもとに来なさい。眠りから覚めなさい! 私はあなたの戸口に立って戸を叩いている。味を失った塩のようにならず、優雅な芽を吹く木のように、聖性の実を結びなさい。一致して互いに助け合い、私の掟を守りなさい、昨日もそうしたように」 ******

********「霊的な一致のこだま」を参照。
世界教会協議会のエキュメニカル会議におけるヴァスーラ・リデンの講演(第V巻冒頭に収録)